営業職から介護士へ!「これが…仕事?」衝撃的な第一印象の理由
私が介護の仕事を始めた12年前の話になります。
それ以前は営業の仕事をしていましたが、倒産をきっかけに介護の世界に入りました。
今は在宅介護のケアマネジャー兼、居宅介護支援事業所の管理者をしています。
また、主任ケアマネジャーとして地域の介護力向上に助力しています。
最初のイメージは「簡単そう」
初めて看護助手として介護の仕事を始めた時は、「簡単そう」「これでお金が貰えるなら良いじゃん」とも思えました。
実際はそんな簡単なものではなく、もっと奥が深い面白い仕事でしたけどね。笑
なぜそんなイメージを持ってしまったかと言うと、私自身が別の業界から介護の仕事に入った時、何も情報が無かったからです。
自分と同じ悩みの人に読んで欲しい
この記事は「介護に興味があるけど、仕事のイメージを持ちたい」
「介護の現場での実際のやりがいについて知りたい」そんな方に読んでもらいたいです。
当時youtubeも知らなかった私のように、「何か情報が欲しい」
「介護の良いところも悪いところも知った上で決めたい」と思われている方に少しでもお役に立てれば幸いです。
営業職から介護職への第一印象は「これが仕事…?」
最初は病院の療養型病床で「看護助手」からスタート。私がこの仕事を始めた時の印象は正直良いものではありません。
率直な感想を言うと「これが仕事なの??」というレベルでした。
なぜなら元々営業職をしていたため、ノルマや成績・結果報告などお客様との交渉が仕事のイメージ。
しかし、現場に行ってみると患者さんの洗濯に食器洗い・シーツ交換。
そこら辺で職員同士がぺちゃくちゃ喋っているなどの光景を見て、自分の「仕事のイメージ」とはかけ離れていたからです。
マナーも最悪
また、最初の病院での看護助手勤務の時は「挨拶ができていないなあ」という印象でした。
患者様家族がナースステーション前を通っているのに誰も挨拶もしない。
困った顔をしていて気づいている人もいるのに声掛けにも行かない。
営業や接客の仕事を過去にしていた自分としてはそこは非常に違和感がありました。
なので、少し業務に慣れてからは積極的に挨拶や声かけをするようにしました。
1日のスケジュール
【日勤】
8:00〜出勤
8:30〜食事誘導
9:00〜トイレ誘導
10:00〜集団体操または入浴介助
12:00〜昼食介助
14:00〜レクリエーション
15:00〜おやつ
16:00〜個別運動
17:00〜トイレ誘導
18:00〜夕食介助
日勤は午前中が勝負です!トイレ誘導や入浴介助で体力的にヘトヘトになります。
逆に昼になるとゆったりします。レクリエーションは慣れるまで緊張しました。
夜勤は一人だから大変!
【夜勤】
16:30〜申し送り
17:30〜食堂へ誘導
18:00〜夕食介助
19:00〜トイレ・就寝介助
20:00〜寝る前の配薬
21:00〜記録
23:00〜巡視・おむつ交換
0:00〜記録
2:00〜仮眠休憩
4:00〜おむつ交換
6:00〜起床介助
夜勤は寝る前の19:00頃と朝方4:00のおむつ交換が一番大変でした。
急変や転倒などがあれば一人で判断せず、別フロアの上司にすぐ連絡して助けてくれました。
営業から介護士に転職して辛かった事
一番辛かったのは「悪くなっていくのをただ見るしかない時」
病院勤務の時は家族了解の上でやむを得ず身体拘束をするときがあります。
針を抜いたり、管を抜いたりする方にどうしても治療が必要な時に用いる手段。
体はどんどん弱っていく
確かに病気は治療されていくのですが、動かないので体は逆に弱っていきます。
しかし、治療を優先しない方が危険。なので身体の動きや認知面が低下していくのを見るだけの状況…。
病院や介護老人保健施設では、本人や家族が望まなくても実施するケースが非常に多かったです。
その辛さをバネにスキルアップを重ねた
私はこの時の悔しい気持ちから介護福祉士となり、ケアマネジャーとなりました。
今では自宅に住んでいる高齢者が「どんな生活をしたいか?」
逆に「どんな最期を迎えたいか?」を一緒に考える仕事をしています。
営業から介護士に転職して良かったこと
介護の仕事をして一番良かったのは、「聴く力」をつけることができたことです。
ただ聴くのではなく、表情や仕草。持ち物・オーラなどで全てを語ってもらえているような感覚。
言葉以外でもたくさん伝わるものだと利用者様が教えてくれました。
聴く力をつけたことで、高齢者や認知症の方との会話はもちろん。
うつ病の友人への接し方や夫婦関係。子供への接し方など、いろんな場面で生かされていると感じています。
周囲の生活の手助けになった事も
また、「自分ならどう生きたいか?」「自分の親にはどう生きてほしいか?」
祖母が急に介護保険の申請が必要になったとき、どうすればいいかなどを家族にアドバイスができたのもこの仕事のおかげ。
近所の方には近隣の施設の特徴などを伝えることができました。
このように身につけた知識や技術を身近な人に使うことができる点も良かったところだと思います。
営業から介護士への転職をして人に勧めたいと思うか?
私はこの仕事を他人にも勧めたいと思います。技術や知識だけでも自分の家族に活かせる時が来ると思うからです。
より深く追求していくと、「生き方」「人生の終い方」についても学んでいくことになります。
人間関係についても学べる
またコミュニケーション技術も学べます。介護といっても、大変な部分は「職場の人間関係」が実は一番。
転職理由も職場の人との関係が大きいと言われています。対人関係構築も学ぶきっかけになるかもしれません。
介護士を体験したから思う向き・不向き
仕事の向き不向きは、私はあると思います。便や尿など汚いものを扱うことになります。臭いもあります。
こういうのが生理的に受け付けない方は無理をされなくていいと思います。
ただ、私は結構潔癖な方だと思います。最初はびっくりしましたが、意外と慣れるものですね。
今では下痢便の話をしながらもカレーを美味しく食べることができます(笑)
短気な人も基本NG
あと、「自分の思い通りにしないとイライラする」こう言う方は難しいかもしれません。
自分達よりも人生の大先輩を相手に仕事をするわけですから、基本言うことなんて聞いてくれません。(笑)
強くて優しい人なら最適
逆に向いている方は、笑顔が似合う方や素直に話を聞ける方。人が好きな方。
ただ勘違いされやすいのですが、決して穏やかで優しい人だけが向いているわけではないです。
介護の仕事は複数で協力しながら業務をするとはいえ、協調性だけを重視する方よりも道徳的に正しいことを実行できる強さを持っている方が向いていると思います。
介護士を体験したら大きく成長できた
初めて介護業界で働いた時は、「これが仕事?簡単じゃん」という印象でした。
ただ、仕事を続ける中で、「治療優先」で”悪くなるべくして起こった”認知症や身体の拘縮などで、さらに自宅に帰ることが困難になる方達を目の当たりにしました。
大好きな利用者さんが亡くなったり、動けなくなったりと、その時のショックな気持ちは私の原動力。
それが「本人の意向」や「生活優先」を大切にできる介護職としての成長に繋がったのだと思います。
常識が変わる事の恐ろしさ
時として、介護の現場は道徳に反する状況を目の当たりにします。
「今はトイレ連れていけないからオムツの中に出してください!」
「動いて危ないから、薬を飲んで落ち着かせよう。」
ダゴールの名言『”人々”は残酷だが、”人”は優しい』この言葉をいつも意識しています。
個人個人はみんな優しい気持ちで仕事をしているものです。
ただ、忙しい現場の中、業務を優先して、全体の流れを変えようと考えてしまう。
それが「集団」になった途端、人はどんなヒドイことでもできてしまう。そう本当に感じることがあります。
営業から介護士へ転職してみようと思っている人へ
介護の仕事をする上で、ぜひ忖度や協調を最優先にせず、残り少ない人生をどう過ごしたいと思っているのか。
そんな事を想像しながら、その利用者が未来の自分だと思って業務ができればいいと思います。
介護の現場はこれからもっと利用者の増加や働く人口の減少。ICT化・ロボットの活用など近い将来に大きく変化すると思っています。
介護士は経験があるから良いとは限らない
介護で働いている方の中には今まで通りのやり方を続けようとする人もいると思います。
ただ、今後はもっと柔軟な考えや発想、視点を持っている方が介護の業界を前に進めていくのではないかと思います。
なので他業種、他業界からも介護業界にたくさん入ってきてもらった方がよりいい介護ができると思っています。
それぞれ理想の介護士を目指そう
私は初めて介護の仕事をしてショックな出来事を経験したからこそ施設を飛び出しました。
そして、今では在宅のケアマネジャーとして現場とは違う介護の面白さを感じています。
まだ語り尽くせないほどですが、介護の仕事は他にない魅力があると思っています。
介護の仕事を始めたいと思われている方へ少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました!