介護職はクズばかり!全職員を敵に回して改革しようとした結果
介護の業界はクズばかりだという評判を聞くことがありますが、恥ずかしながら私も同じような考えを持ち退職した経験があります。
これから話す内容は今から13年前の話。当時私は大学の福祉学科を卒業し、特別養護老人ホームの介護士として勤務していた時の事。
介護のことや医療のことなどを色々と学ばせていただいたのですが、約2年間という短い期間で退職を決意いたしました。
一度は清掃員として業界を離れたのですが、今現在は再び介護の仕事に戻りデイサービスの管理職として高齢者の方々の生活を支えています。
退職は決して悪い事じゃない
退職というのはマイナスのイメージで捉える人もいるかもしれません。私も退職するときは周りから反対されました。
入社してから退社するまでの期間が短いと、それだけで人格まで決めつけられてしまう風潮も感じます。
退職することは目の前の現実から逃げているようにも感じますが、変化の一手でもあります。
この記事が退職を考えている方への参考事例として少しでもサポートできる記事内容であれば幸いです。
介護職はクズばかりだと感じたのは特別養護老人ホーム
退職が決まったときは嬉しいとか悲しいなどの具体的な感情は無く、ただただ呆然としていました。
社会人になってから初めての退職経験だったため、退職するということがよくわからなかったのかもしれません。
2年間ほとんど有給等使わなかったので、退職するときには約1か月休暇がたまっていました。
次の仕事に就くまでに1か月の休み期間があったことはとても嬉しく思っていました。
退職のキッカケは探求心
新卒として入社した特別養護老人ホームはまさに新鮮そのものでした。すべてが初めてのことで知識や技術の基盤にもなった施設ともいえます。
介護の先駆者とも言われている方々の講演会や書籍などを読み漁り、介護の世界について色々と学んでいくうちにある想いがこみ上げてきました。
それは「もっといろんな介護現場を見てみたい」という想いです。
1つの所では学べない事があるはず
私は一方向の意見だけ取り入れてしまっては大切な部分が抜けてしまうのではないかという考え方を持っています。
老健で働いていると今まで学んできた介護が本当に正しいのかどうか、自分がこの考えの流れに身を投じてよいのかどうか等の質問が浮かんでくるように。
この答えを導き出すためには、他の施設の現場を見るしかないという方程式が頭の中で成り立ちました。これが退職に至ったきっかけです。
この他にも人間関係の問題や仕事内容に関する不満等もありましたが、一番のきっかけは学んできたことへの正当性を確かめるためでした。
退職するとさらに新しい景色が見えた
退職後ですが色々と自分自身で考えた結果、介護の業界を一旦離れて知人の紹介で清掃会社に勤務することにしました。
お宅に訪問しいろんな所の清掃を行うものですが、依頼される方は高齢の方がほとんど。
介護士の経験があった私はコミュニケーション等には苦労せず楽しく仕事をすることが出来ました。
現在は再び介護業界に戻っていますが、退職し異業種を経験した私は間違いなく現在に活かされています。
介護士の退職に至ったストーリー
特別養護老人ホームでは毎日同じことの繰り返しです。施設利用者は朝になると起床しご飯を食べて、トイレに行き、再びベッドで臥床する。
お昼が近づくとまた起床してご飯食べて・・・等の繰り返しです。
当時、仕事ができる有能な介護士の条件は、いかに早く業務を終わらせることが出来るのかということでした。
別の言葉でいうと流れ作業をいかに効率よくこなせるのかということです。人間を相手にする以上、流れ作業にするのは失礼に値します。
より早くこなすことが良い介護というクズのような考え方には納得ができない…。
しかし、当時ではそれが普通の考え方でした。
原動力はご利用者のため
流れ作業の介護を1年間こなしていたある日、ふと想いが湧きあがりました。「毎日同じことの繰り返しで面白くない」という想いでした。
介護をしている私が1年で思うのですから、ご利用者の方はもっと早い段階でそう思っていらっしゃったに違いありません。
しかし、特別養護老人ホームに入所されている方は要介護度が高い方が多いため、自分の意思をはっきりと伝えることが出来ない方が大多数でした。
人生を触発されたベテランとの出会い
仕事内容に対して飽きが来てしまった頃、ある職員が声をかけてくれました。それは中途採用で入ってきた当時40代後半の男性の方。
その男性職員も特別養護老人ホームの仕事内容に関して不満を持っているようで、私と違っていたのは明確な介護の考え方の軸を持っていたということでした。
軸を持っているからこそ、現実とのギャップを感じ悩んでいたんだと思います。そこから意気投合し、色々と介護の話をするようになりました。
男性職員が良かったのは私が仕事上における疑問をぶつけたときに当時の上司は曖昧な回答だったことに対し、その男性職員だけは明確に解決策を示してくれたことでした。
周りの介護職がクズばかりだと思え始める
そんなやり取りを複数回続けていくうちに、「この人の持っている考え方にもっと触れて見たい!」と思うように。
色々と薦められた書籍を読んだり、講演会に足を運ぶような生活が続いていました。
学んでいくうちに自分が特別養護老人ホームで提供しているサービスが古い考え方のもと展開されているように感じ、周りの人間がクズのように思え始めた結果、現場を改革しようと決意しました。
しかし、改革をするということは今まで培ってきたそこの施設サービスを否定することに繋がり、すなわち先輩や上司・看護師などを敵に回すことになります。
そのような流れになってしまうとはまだ20代前半の私には想像もつかずに改革を進めてきました。
失敗と人間関係の破綻
案の定、上司や看護師を敵に回すことになり関係性が徐々に悪化の一途をたどっていきました。
この一連の流れをみたときに、看護師も上司も高齢者に対して嫌いな気持ちはなく、むしろ好きな気持ちのほうが強いことが明らかに。
「改革だといって善と悪を決めつけ行動に移してしまった…」冷静に状況を把握できた時、残ったのは後悔でした。
今思えば善と悪という分断した考えでしたが、融合の方向に持っていけば違った結果が見えていたかもしれません。
これらを経験し感じたことは、私が今まで学んできた考え方が本当に正しいものだったのかどうかということでした。
これを立証するには今の施設だけでは情報量が足らず、判断材料を求めて他施設へ行くために退職することを決意しました。
改革を機に退職したおかげで理想の働き方と出会えた
退職を経験し、結果的によかったと感じています。
あの時点で私が退職という行動に踏み切らなかった場合、いつまでも疑問を抱えたまま仕事をすることになります。
退職をするというのは周りからみたらマイナスな出来事として捉えられてしまいがち。
でも、一つ言えることは退職するという行為は自分できちんと考えて結論を出したということになり、主体的に動いた結果なのです。
自分にあった職場を見つける事が一番重要
いろんな経験をした今だから言えますが、年齢を重ねても指示待ちの人間はたくさんいます。介護の理想像を持っていないベテラン介護士もたくさんいます。
どちらかが良い悪いという話ではありませんが、自分は理想像を実現したいタイプだったので環境を変化する手段としての退職はすごく意義のあるものでした。
又、退職する際に有給休暇も1か月分残っていたため、その間はフリーな時間が増えました。退職してプラスになることが多かったと言えます。
環境を変えるための転職は大事な選択肢
退職を決断するにあたっては色んな理由があると思いますが、共通として言えるのは今の環境を変化したいという事が挙げられると思います。
ただ、変化をもたらすには相当のエネルギーが必要です。精神的な負荷もかかるかもしれません。
それでも現状を打破したいという強い意思を持ち合わせていれば、退職を一つの選択肢として取り入れることをオススメします。
介護士を退職したから分かる向いている人
介護の仕事は大変です。排泄等の人間の汚い部分・人には見せない部分と接しなければなりません。
又、認知症の方から暴言を吐かれることもあります。高齢者になるとみなさん様々な疾患を抱えており、疾患ごとに対応が異なる場合もあります。
勤務体制も日勤だけでなく夜勤も存在し、自分の生活時間が大きく変化していきます。
医療知識・介護知識の習得だけでなく、適切な介護技術を学ばなければ自分も腰痛持ちになるなどのリスクもあります。
その上、給与は安いです。高齢化という時代の波により介護の需要は増えているので完全にこの産業が無くなる可能性は低い。
しかし、将来裕福な生活を希望される方は決して向いているようなものではありません。
ある程度覚悟を持って挑戦するべき
ここまでの文章を読んでいただいた上で、それでも高齢者の生活を支える仕事をやりたい。
そんな風に少しでも感じていただけるようであれば、この仕事は向いていると思います。
逆に、この文章で気持ちがかなり揺らいでしまったようであれば、この仕事には向いていないという選択肢を考えても良いかもしれません。
中途半端は皆が後悔する
なぜこのような文章を書いたかというと、どの仕事でもそうかもしれませんが、中途半端な気持ちで介護の世界に入ってくると後悔するという個人的な思いがあります。
介護の世界で働くとどういうデメリットがあるのか承知の上で介護の世界に入るようであれば、恐らくどこの施設に行っても良いケアが出来ると思います。
ただ、なんとなく介護の世界に入ってしまうと結局、その人も利用者も不幸になるだけです。
こういう想いが背景にあるため、甘い言葉は書かずに少し厳しい表現方法にさせていただきました。
退職はメリット・デメリットを考えて
繰り返しになりますが、退職は変化をもたらす手段である事と同時に周りからの印象を悪くするというリスクも含んでいます。
その両面をきちんとおさえた上でどのような選択をすることが自分の人生にとって有意義な選択になるか、じっくり考えた上で実施されるのが良いのかと思います。
あなたの選んだ選択が人生を有意義なものになることを願っています。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。