大卒の介護職はもったいない?実際に3年間働いてみると…
皆さん、こんにちは。あやかと申します。
今から約7年前、大学を卒業後、新卒で入社した会社で3年間介護職として働いていました。
大卒で介護の仕事をするのはもったいないという意見もあるかもしれませんが、この3年で得たものは沢山あります。
特に退職間際に介護業界へ戻ることも視野に入れて取った、介護福祉士の資格は一生物。
現在は一度きりの人生、好きなこと・関心のあることを仕事にしたいと、地方で観光業に携わりながら、フリーでライターとしても活動中です。
介護職は全くの未経験からスタート
私の場合、大学時代に介護を含め、福祉に関する勉強をしていたわけではありません。
強いて言えば、一緒に暮らしていた祖母の介護のお手伝いをしていたくらいでした。
そんな私が、社風や社員さんの人柄に惹かれ、当時の会社に入社し、偶然にも介護の現場で働くことになったお話をお伝えしたいと思います。
初めて介護士を体験したのは有料老人ホーム
私が働いていたのは、住宅型有料老人ホームです。
主に有料老人ホームには、介護付き、健康型、そして住宅型の3つがあります。
住宅型は、主に民間企業が運営をし、要支援・要介護の高齢者を受け入れている施設です。
住宅型で、介護サービスが必要なときは、訪問介護や通所介護などの介護サービスを利用し、介護を受けることができます。
最近では介護付きと同等のサービスを提供する住宅型も増えているので、そのような施設では、要介護度が高い高齢者でも、生活することが可能です。
色んな状態の利用者さんがいる施設
先にお伝えしたように、住宅型で働いてましたが、介護付きと同等のサービスを提供する施設。
殆ど自立している高齢者もいれば、寝たきりの全介助や施設内で職員の目が届く、フロア内で見守りが必須といったような、要介護度が高い高齢者も入居していました。
その施設で、新卒を受け入れるのは私で2人目でした。
若い人は大事な即戦力だったようで、人手不足の中、ベテランの職員さんが一から丁寧に教えてくれたことは今でも記憶に残っています。
必死で働く毎日だった…
ただ、どうしてもギリギリのスタッフ数でまわしている日が多々あり、入社してまだ日が浅い中、気付いたら一人で仕事をせざるをえない状況になることもありました。
また、介助が難しい入居者さんも多いことから、早く一職員としてちゃんとカウントしてもらえるように。
「一つだけでも良いから多く物事を覚えよう」「入居者さんそれぞれの特徴や病気を理解して、適切な介護ができる職員になろう」と、とにかく最初の頃は必死でした。
自分のメモ帳に入居者さんの部屋番号と名前、特徴を記入して、毎日繰り返し何回も読みました。
体力は限界…でもやりがいのある仕事
退職するまでそのメモ帳を大事にとっておいたのですが、綺麗だったメモ帳も、最後にはボロボロで、メモ帳というよりボロボロの紙切れのような状態になっていました。
そんな日々だったので、とにかく一日があっという間で、仕事が終わって帰宅すると、ベットに倒れ込んで、気付いたらそのまま寝てしまっている日が多かったです。
ですが、一職員として出来ることが増えていく嬉しさも日々感じており、やりがいのある仕事だと思いました。
初めて介護士を体験した時のスケジュール
①早出
7:00~出勤、新聞を購読している入居者のお部屋へ新聞を届けた後、夜勤者と朝食の準備
8:15~食事フロアからお部屋へご案内、排泄介助など
8:40~入浴対象の方のバイタル測定
9:00~入浴介助やそのサポート
11:30~休憩
12:30~入浴介助やそのサポート
15:30過ぎ~浴室清掃
16:00退勤
②日勤
9:00~出勤、夜勤者からの申し送り
9:30~朝のお茶配りや排泄などの介助
11:30~昼食準備や食事前の口腔体操
12:00~休憩
13:00~フロア見守りなど
15:00~おやつ配りや排泄の介助、日誌など記録
16:30~夕食準備や食事前の口腔体操
17:00退勤
③遅番
10:00~出勤、日勤者より申し送り後、入居者のお部屋掃除やシーツ交換
11:30~昼食準備や排泄などの介助
13:00~お部屋掃除やシーツ交換など
13:30~休憩
14:30~お部屋掃除やシーツ交換
15:00~日勤のおやつ配りのサポート
16:30~夕食準備や食事前の口腔体操
17:40~夕食の片付けやナイトケア
19:00退勤
④夜勤
17:00~出勤、日勤より申し送り、夕食のサポート
17:40~夕食の片付けやナイトケア
19:00~翌日5:30 定期的な巡回と排泄ケア、記録など
5:30~起床介助
7:00~早番と朝食の準備など
8:15~食事フロアからお部屋へご案内、排泄介助など
9:00~日勤者へ申し送り
10:00退勤
初めての介護士体験で辛かったこと
介護業界で、排泄介助や入浴介助など、所謂人のお世話をするのが最初はきついという人も多いかと思います。
私は祖母の介護のお手伝いを素人ながらも自宅でしていたからなのか、そこに対する抵抗やしんどさなどは一切ありませんでした。
一番辛かったのは、長く関わった方との別れです。
人生の最後に寄り添ったからこそ
正社員であれば、昼間の勤務も、夜勤も全て経験します。
昼と夜とでは、病気などの影響で、人が変わったように別人になる方もいます。
そんな方の元気だった姿から、体が弱って寝たきりになってしまった姿。
最後に、自分の目の前で息を引き取ったときは、涙が止まりませんでした。
初めての介護士体験で良かったと思えること
老人ホームには、色んなタイプの人が入居していて、中にはなかなか介助を受け入れてくれない、心を開いてくれない方もいます。
そういう方に対しては、出勤した日は、些細なことでも声かけをしたりと諦めない気持ちやかなりの根気強さが必要です。
嫌がられても私が諦めず、しつこいくらい関わっていたら、あるとき「しょうがないなぁ、手伝ってくれるか」と私を受け入れてくださいました。
難しい方とうまく関われたことの嬉しさ、諦めなくて本当に良かったと思えた出来事です。
それからは徐々に色々と話すようになり、私だったらとすんなり対応してくださるようになりました。
初めての介護士体験をしてこの仕事を勧めるか?
正直なところ、半々といったところです。
確かに私のように少しのお手伝い程度の経験しかなかった人間でも、必死で働ければそれなりに仕事ができるようになります。
また、しっかりと勉強すればですが、3年後には、介護福祉士の資格も取得できます。
中途半端な気持ちでは関わってほしくない
ただ、業界的にも常に人手不足なのところも非常に多く、求人に応募すれば、すぐに採用してもらえるかもしれません。
しかし、厳しいことを言うと、介護という世界は、常に、生と死が隣り合わせの仕事。
元気だった人が突然、亡くなることもあります。生半可な気持ちで関わってほしくないというのが私の正直な気持ちです。
未経験でもやる気があれば大丈夫!
未経験者に限って言えば、介護という仕事に本気で向き合える人、やる気がある人には関わってほしいなと思います。
そういうやる気だったり、仕事に向かう姿勢は、言葉にしなくてと入居者の方にしっかりと伝わるからです。
初めて介護の仕事を体験して思う向き・不向き
相手の気持ちをちゃんと考えられる人、観察力のある人、根気強く仕事に向き合える人が向いていると思います。
介護は人間相手の仕事ですので、相手の気持ちやそのときの状況などをしっかりと考え、丁寧に向き合ってほしいと思います。
人間の体調について、同じ状態の日は、存在しません。また、特に高齢者は、日々のちょっとしたことが命取りになる可能性もあります。
観察力や体力も必要
仕事をする上で、どんな些細なことでも見逃さない、観察力が必要だと思います。
加えて、体力的にも精神的にもしんどくなることが多々ありますので、根気強く諦めず取り組めるタイプの人は向いていると思います。
逆に当たり前ですが、この反対のタイプの人はあまり向いてないと思います。
まずは挑戦することも大切
介護について、右も左もほとんど分からず、更には、新卒という社会人経験なしの状態で、初めて勤めた仕事が介護という仕事でした。
周りからは、介護なんて誰でもできること、大学を出た人間がやる仕事じゃないなど、かなりきついことも言われました。
3年間勤めてみて感じたのは、簡単にできる仕事ではないということです。
その人が持つ病気によっては、自分の状態を上手く伝えられなかったり、職員に介助されるということに対して抵抗する人もいます。
介護業界に関心がある、チャレンジしてみたいという人は、相手の尊厳を大切に、忙しい中でも丁寧に関わること意識してほしいと思います。
あやか:フリーライター