夜勤明けの次の日が夜勤は当たり前?明けを休日にするブラック施設
介護業界に挑戦して約15年の月日が経ち、その経験の中でも2年前は介護老人保健施設の事務長として人事に携わることがありました。
人事という業務の中には、当然ですが入職希望者の面接を行うこともあります。
応募者は介護職だけでなく、看護師や理学療法士、管理栄養士など、様々な職種の面接を行ってきました。
入社面接を行う中で、応募者からは様々なブラックな事業所の話を聞くことがあります。
今回はその中でも特に印象が強いブラックな事業所の体験談を紹介していきたいと思います。
この記事を読んでほしい方
この記事は、運が悪くブラックな事業所に当たってしまってるかもしれないと思っている人に読んでもらいたいです。
自分の職場がブラックな事業所と感じたら早く脱出してほしいと思っています。
夜勤明けの次の日が夜勤は当たり前の施設は…
入所系の施設である「住宅型有料老人ホーム」での話です。
県内に3店舗を展開する比較的に新しい施設でした。
住宅型有料老人ホームで勤務するのは初めてではありませんでしたが、いつも求人募集しているなというイメージ。
入職した当初は、ちょっと給料が安いなということは感じていましたが、特に大きな不満もなく仕事をしていました。
悪い予感が現実になっていく
しかし、退職する職員が増えていくにつれて、どんどんと残業が増えたり、夜勤の回数が増えたりして勤務が辛いなと感じるようになっていきました。
夜勤が月に8~9回に増えていき、夜勤以外の勤務でも残業が続くことで、寝ると仕事の夢を見ることが多くなっていきました。
そのうちに寝ても仕事の夢を見て起きてしまうことが多くなり、心身ともに疲れていき、毎日身体のダルさと付き合う日々となってしまいます。
人手不足により夜勤時間の延長。さらに…
一般的な介護施設での勤務形態は、早番・日勤・遅番・夜勤という交代制の勤務形態だと思います。
働いていた有料人ホームも、同じようにどこでもあるシフト制の働き方。
ところがある日、人手不足により夜勤が8時間から16時間夜勤に変更されてしまいました。
「ただでさえ、しんどい夜勤の時間が2倍になるのか…。」
人手が足りないから仕方ないと思っていたのですが、さらに衝撃の事実を突きつけられます。
夜勤明けが公休としてカウントされる
時間が長くなるだけであれば、他の施設でもある勤務なのでそこまで問題ではありません。
しかし、勤務表を見て驚愕しました。
「え?16時間の夜勤でも1日分の出勤で明けの日は休日扱い…!?」
人材不足から1カ月で夜勤の回数が8~9回あり、その夜勤明けが休み扱い。
こうなると丸々1日の休みはほとんど無くなり、月に9日ある休みは全て「夜勤明け」となる可能性もありました。
寝ても覚めても仕事に追われ始める
当然ですが連休はなく、ほぼ毎日職場に居ることとなります。
夜勤が終わって自宅で寝ていても、職場で仕事をしている夢ばかり。
夜勤明けの翌日はまた仕事で頭も身体も休まる日がありません。
友達と食事に行こうと思っても夜勤明けが休みなので、頭と身体の疲れから休むことを優先してしまい友達とも徐々に疎遠になってしまいました。
労働基準法違反に気づく
ふと気付くと、「自分は何のために仕事をしているのだろう」と考えることが多くなりました。
それでも自分が生活するため、自分が居なくなると利用者に迷惑をかけてしまうという使命感もあり、日々をなんとか乗り切っていました。
そんな中、なんとか気力と体力をふり絞って出かけた友達との食事の際に、現在の状況を相談すると、「それって労働基準法違反じゃないの?!と言われます。
その時の自分は「労働基準法」についてまったくの無知。
友達に言われて調べてみると、やっぱりおかしいのではないかと考えるようになりました。
自分なりに調べて気づいたブラックの可能性
全くの無知だったので夜勤の勤務形態のついて調べることにしました。
まず8時間夜勤は21:00に夜勤入りをして、休憩1時間を挟んで翌朝の7:00までの勤務。
8時間勤務なので、1日分の勤務と同等の扱いになるのは当然です。
ただ、今回採用された夜勤は16:00に夜勤入りをして、休憩2時間を挟んで翌朝の10:00までの勤務となります。
トータルで16時間勤務なので、実質は2日分の勤務扱いとなります。
出勤が1日分カウントされてない
通常であれば2日分の勤務なので「夜勤入り」と翌日の「夜勤明け」は出勤していることになります。
ですが、職場では夜勤明けは勤務扱いではなく、朝に勤務が終わるとの事で休日扱いになっていました。
しかもその理不尽なシフトが組まれている理由は単純に人手不足。
本来夜勤明けは勤務扱いなのに休日扱いにされることで、16時間夜勤で2日分働いても1日分しか働いていないことにされてしまうのです。
夜勤明けの次の日が夜勤は当たり前の施設にアクション!
意を決して管理者である施設長へ相談することにしました。
現在の勤務状況は労働基準に違反しているのではないか?と単刀直入に相談。
施設長からは「違反はしてないよ。本部に確認しているし、人員基準もちゃんと満たしている。」と簡単にあしらわれてしまいました。
心身共に限界を迎え退職
その後も、納得がいかないと思いながらも仕事を続けていました。
しかし、徐々に頭も身体も悲鳴をあげるようになってしまい、夜も仕事の夢でしっかり寝れず、ついに体調を崩してしまいました。
「もう限界」と思い施設長へ退職の意向を伝えました。
もちろん引き止められましたが、これ以上身体を壊したくないため退職することに決めました。
退職してからの体調は?
退職することが決まると、転職活動を開始しました。
転職活動で色々な事業所や施設に見学に行って話を聞くと、やはり職場の夜勤は違法だとわかりました。
やはり16時間夜勤は2日分の勤務扱いだったので、夜勤明けの日は出勤扱いとなるとのことでした。
体調がどんどん回復
ブラックな職場を退職したことで、心身の状態も徐々によくなりました。
今になって思い返すと、自分がブラックな事業所にハマるとは思いもせず。
友達と食事に行かずに「それって労働基準方違反じゃないの?!」という言葉を聞かなかったら完全に体調を壊していたと思います。
体調を壊す前にブラックな事業所から抜け出すことが出来て本当によかったと思っています。
ブラックな施設に巻き込まれたから分かる事
ひと昔前の日本は長時間労働をすることが美徳とされて残業することは当たり前。
休日出勤も当たり前という時代から、働きすぎである日本を変えるべく「働き方改革」も導入されるようになりました。
しかし、長時間労働が美徳という時代でバリバリ働いていた人にとってサービス残業はまだ当たり前。
むしろ有給を取得することさえ”悪”だと思っている人は存在します。
そうした考えが通用すると思っている事業所は、必然的にブラックな事業所になります。
労働環境に疑問を持ち必要な知識を持つことが大切
「働き方改革」の存在や明らかに労働基準法違反していることなどを判断する知識がある人は、ブラックな事業所にハマらないでしょうし、ハマってもすぐに気付くことができます。
逆に判断する知識がない人は、「サービス残業が当たり前なんだ」と洗脳されてしまい、ブラックな事業所にハマりやすく、そして抜け出そうという考えも思いつかなくなります。
ブラック体験から学んだこと
「働き方改革」などが進んでいますが、ブラックな事業所はまだまだ存在しています。
元々ブラックな事業所もあれば、人員不足からブラックな事業所になってしまうこともあります。
誰もがブラックな事業所で働きたいなんて思いませんよね。
当然、ブラックな事業所は避けて就職活動や転職活動すると思います。
入社前にブラックを見極めるために
しかし、ブラックな事業所にハマらないようにどれだけ注意していたとしても、ブラックな事業所を完全に避けるということは難しいです。
何故なら、1回の面接や見学では完璧に見極めができないからです。
介護業界で何度も面接するところも珍しいですし、コロナ禍である現在は見学も限られた範囲しかできないこともあります。
ですので、限られた機会である面接の際に、可能な範囲で質問するなどして見極めをしなければいけません。
ネットで様々な情報を確認しましょう
月の平均残業時間や夜勤などの勤務形態の確認は必須です。
できればインターネットで評判を確認したり、ホームページで職場の雰囲気を見ることもヒントになると思います。
何よりも、現在の職場がブラックな事業所であれば、すぐに逃げ出す行動を起こしましょう。