高卒で介護職に挑戦!あれが一番辛かった…本音で語る体験談
私が介護の世界に飛び込んだのは今から約15年前の話です。
「人の役に立つ仕事がしたい」という漠然とした目標を高校生で持ち、自分の将来を選択した道は介護福祉という道でした。
介護の世界に飛び込んで15年経過しましたが、現在も介護福祉という道を突き進み、デイサービスの管理職として高齢者の日々の暮らしを支えています。
高卒で介護職に挑戦したのは特養
私が最初に介護の仕事としてスタートしたのが、特別養護老人ホームの介護職でした。
本当にやりたかったのは、生活相談員という利用者本人や家族から介護についての相談を受ける役職。
しかし、介護の現場経験がないと相談員を行うのが難しいという周囲の意見を取り入れ、初めは介護職員としてスタートしました。
特養では利用者の生活すべてを支える
特別養護老人ホームの介護職の仕事を一言で表すと、ご利用者の方の生活を支える仕事です。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、特別養護老人ホームを利用されているほとんどの方が、ご自身で身の回りのことを行う事ができません。
なので、ご飯を口元まで運ぶ食事介助や入浴し清潔保持を支援する入浴介助。
トイレ誘導やオムツ・パッド交換などの排泄介助にその他にも入れ歯や歯を磨く口腔介助やベッドから起き上がる起床介助。
生活に彩を与えるレクリエーションなど、その方が1日暮らしていけるように支えていく仕事内容になります。
最初は覚える事ばかり
初めて介護の仕事に就いた時は、覚える仕事内容の多さに驚いたのを覚えています。
まず、ご利用者の方の顔と名前、その方が抱えている疾患や身体状況、服薬している薬や生活背景等。
1名だけでもかなり覚えることが多いのですが、それが何人もいらっしゃいます。
それに加えて、介護に必要な技術や専門用語、専門知識も同時に習得していかなければ、ご利用者の方の生活を支えることが出来ません。
介護だけではなくどんな仕事でも最初は覚えることがいっぱいだと思うのですが、介護の世界も最初は覚えることに苦労しました。
しかし、その分やりがいも大きい
ただ、それ以上にやりがいのある仕事だと思っています。人間であれば必ず体は衰え、人の助けが必要な暮らしが待っています。
私たち人間は必ず死を迎えます。その方の人生の最終章に出会うのが私たち介護職です。
その人の人生の最後を彩るのは私たちです。介護は大変な部分に焦点が集まりやすいですが、ぜひ少しでも多くの方に介護の仕事が伝われば幸いです。
特養の1日のスケジュール
特別養護老人ホームの介護職の1日の流れをお伝えします。
施設によっても勤務時間帯はバラつきがありますが、私が最初に経験した施設でのタイムスケジュールです。
8:30から日勤がスタート
出勤した時点ですでにほとんどの方が朝食を食べ終わっている状態なので、まず最初にすることは順次トイレ誘導・排泄介助をしていきます。
断言はできませんが、朝食後の時間帯が一番排便される方が多かったことを覚えています。
一通り、排泄介助が終わったら、皆さんを居室まで案内しベッドに臥床してもらうよう介助を行います。
11:00からは昼食の準備
11:00になると昼食準備の為に離床介助に移ります。
皆さんを起こし食事の席に全員を移動させるころには既に12:00近くになっています。
調理場から人数分の食事が届きますので、それを各個人に配膳していきます。
自分で食べれる人はそのままご自身で召し上がっていただくのですが、数名介護が必要な方がいらっしゃるので、その方の食事介助に入ります。
食後は排泄と入浴
この時の服薬については看護師が行ってくれます。昼食が終わると朝の流れと同じようにトイレ誘導・排泄介助・臥床という流れになります。
午後は入浴の時間があり、該当者は浴室へ順番に案内されます。
ちなみに入浴は1人週2回が原則です。入浴介助は遅番職員が対応します。
入浴ではない利用者の方々はおやつの時間まで居室で臥床しています。数は多くありませんが、フロアで起きて過ごされる方もいらっしゃいます。
15:00頃からおやつ17:30には退勤
おやつの時間が近づくと離床し、食べ終わると夕飯まで再び臥床します。
夕食が終わると口腔ケア・排泄誘導・寝巻に着替えたのち就寝となります。
日勤帯で働く職員はここで勤務終了です。夜勤者に引継ぎを行い、退勤します。
夜勤者の仕事は定期的な見回り、排泄介助が主になります。
夜勤は1人でやる大変な仕事
日勤帯と比べて動く時間はそんなに多くはありませんが、拘束時間が長いことに加え、一人でワンフロア見なければなりません。
朝の6:00から順次、起床介助をしていきます。全員をテーブルまで誘導し、朝食を配膳します。その後、出勤してきた日勤者に引継ぎを行い勤務終了です。
高卒で介護職に挑戦して本気で辛かったこと
介護職として働いてみて、仕事内容や人間関係トラブル。
組織面など色々と不満やつらいと感じる場面はあったのですが、その中でも一番つらかったのは夜勤です。
夜勤の仕事は楽と捉えている方もいるかもしれませんが、夜勤は1人で十数名の利用者を見なければなりません。
看護が常駐している施設ではないため、夕方には退社してしまいます。
夜勤は命を預かる重い仕事
夜勤の仕事は基本的には定期的な排泄介助のみの仕事内容になるのですが、利用者の様態に急変があるかどうかで夜勤の仕事内容が一気に変わります。
急変した際、自分の判断・対応次第でその方の命にかかわることもあるため、人の命を預かっているというプレッシャーがかなりのしかかってきました。
自分次第で人の命を左右する、その重圧と向き合うことが一番のストレスでした。
介護の仕事でしか得られない大きなもの
介護の世界はきつい・汚い等のイメージがついていますが、「人間の最期と向き合える」というのはこの仕事の大きなメリットでもあります。
人間はいつか死にます。しかし、いつも死を考えて生きている人は少ないと思いますし、どこか自分と関係ないような態度を取る方もいます。
「死」に向き合うと人生の考え方が変わる
人間の最後を見るということは、自分の人生にも大きく影響します。
いずれくる死に対して、それまで自分らしく生き、自分らしく死ぬためにはどうすればよいのか。
死に方を見つめることで生き方を見つめることにもつながり、自分の人生の質に大きな変化を及ぼします。
それを味わえることは介護の仕事の特権だと感じています。
介護職は生半可な気持ちじゃダメ
介護の仕事を進めるかどうかに関しては、あまりお勧めはしません。
介護はその人の命や人生と向き合うことになり、その人の最後の色どりを飾るものになります。
そういう仕事の性質上、生半可な気持ちで勤めてもらいたくはありませんし、相当な覚悟をもって臨んでほしいと思っています。
条件だって決して良いとは言えない
介護は他職種と比べると給与は少ないですし、自分自身がきちんと介護の仕事に使命を感じなければかなりきつい仕事になると思います。
生半可な気持ちで仕事に入ってしまうと自分だけでなく関わる利用者・ご家族にも迷惑がかかります。
相当な覚悟や使命感を少しでも持ち合わせているようであれば、一度チャレンジしてみてもよろしいのではと思います。
高卒で介護職を体験したから思う向き・不向き
介護の仕事は大変です。排泄等の人間の汚い部分・人には見せない部分と接しなければなりません。
又、認知症の方から暴言を吐かれることもあります。
高齢者になるとみなさん様々な疾患を抱えており、疾患ごとに対応が異なる場合もあります。
勤務体制も日勤だけでなく夜勤も存在し、自分の生活時間が大きく変化していきます。
医療知識・介護知識の習得だけでなく、適切な介護技術を学ばなければ自分も腰痛持ちになるなどのリスクもあります。
そのうえ給与は安いです。高齢化という時代の波により介護の需要は増えているので、完全にこの産業が無くなる可能性は低いです。
しかし、将来裕福な生活を希望される方は決して向いているようなものではありません。
ここまでの文章を読んでいただいた上で、それでも高齢者の生活を支える仕事をやりたいと少しでも感じていただけるようであれば、この仕事は向いていると思います。
ここまでのリアルな声を読んで
逆に、この文章で気持ちがかなり揺らいでしまったようであれば、この仕事には向いていないという選択肢を考えても良いかもしれません。
なぜこのような文章を書いたかというと、どの仕事でもそうかもしれませんが、中途半端な気持ちで介護の世界に入ってくると後悔するという個人的な思いがあります。
介護の世界で働くということがどういうデメリットがあるのか、それらを承知の上で介護の世界に入るようであれば、恐らくどこの施設に行っても良いケアが出来ると思います。
ただ、なんとなく介護の世界に入ってしまうと結局、その人も利用者も不幸になるだけです。
こういう想いが背景にあるため、甘い言葉は書かずに少し厳しい表現方法にさせていただきました。
高卒で介護士を体験して気付いた自分の気持ち
どの職業もそうですが、最初は大変です。職員から怒られることも多々ありますし、悔しくて泣いたこともあります。
しかし、私は結局介護という道を捨てきれませんでした。人間は常に人間に依存して生きています。
私も一人では生きられません。誰かの力を借りなければ生きることはできません。私は人間が大好きです。
その人の生活に関われることに誇りを持っています。そう感じさせたのはやはり介護の最前線で歯を食いしばりながら頑張ってきた結果だと思っています。
この世界に入ってきてよかった、今では胸を張ってそう断言できます。
少しでもこれから介護の仕事をしようと考えられている方の参考になれば幸いです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。